米オラクル(ORCL-US)は14日(火)、クラウドインフラ部門(OCI)が2026年後半から、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD-US)のAIグラフィックスプロセッサ(GPU)を5万枚導入すると発表しました。これは、クラウド企業がAI計算能力の供給リスクを分散させるため、NVIDIA(NVDA-US)以外の代替ソリューションを積極的に導入していることを示しています。
AIチップ市場の新たな競争
Oracle Cloud Infrastructureの上級副社長Karan Batta氏は、「特にAI推論(Inferencing)の分野で、顧客がAMDのチップを採用することに非常に前向きだと見ています」と述べました。AMDのソフトウェアアーキテクチャが、クラウド顧客のAIアプリケーションにおける効率向上に不可欠であると強調しています。
今回導入されるのは、AMDが今年初めに発表したInstinct MI450チップです。これはAMD初のラックレベルで構築可能なAIチップで、最大72個のチップが協調して動作し、大規模なAIモデルの訓練と展開をサポートできます。
NVIDIAの独占体制に変化
AMDのCEOであるリサ・スー氏とOpenAIのCEOサム・アルトマン氏が今年6月にこの製品を発表したことは、AMDがAIチップ市場でNVIDIAに挑戦する強い意志を示しています。Batta氏は「AMDは非常に素晴らしい仕事をしています。NVIDIAと同様に、両社は市場でそれぞれの位置を確立しています」と語りました。
OpenAIは今年、今後数年間で最大6GWの電力を必要とするAIプロセッサを導入するため、AMDと提携を発表しました。第1フェーズとして2026年に1GWの規模で開始する予定です。NVIDIAが依然としてデータセンターGPU市場の9割以上のシェアを占めていますが、今回のAMDとOracleの提携は、クラウド大手がNVIDIA以外の供給源を拡大しようとする決意を示すものと見られています。
甲骨文の創業者兼会長ラリー・エリソン氏は、今週の「Oracle AI World」大会で講演し、マイクロソフト(MSFT-US)、アマゾン(AMZN-US)、グーグル(GOOGL-US)などのクラウド競合他社とどのように競争していくかなど、同社のAI分野における最新の取り組みを説明する予定です。
研究機関The Futurum GroupのCEOダニエル・ニューマン氏は、「オラクルはAIの波に大きく賭ける意欲を示しました。次の課題は、その膨大な企業データと技術的能力を実際の価値に変え、真にAIの機会を掴む方法です」と述べています。